逆流性食道炎|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

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逆流性食道炎

逆流性食道炎|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

胃食道逆流症(GERD:gastroesophageal reflux disease)

胃食道逆流症

胃食道逆流症(GERD)とは胃酸の逆流に関連した症状を呈する疾患の総称で粘膜障害の有無は問いません。GERDは食道粘膜にmucosal breakという粘膜びらんを伴う逆流性食道炎(RE:reflux esophagitis)と、mucosal breakを伴わない非びらん性胃食道逆流症(NERD:non-erosive reflux disease)の2つを包含する概念です。現在の日本ではREよりもNERDの比率が高いと言われています。

症状

胸やけ、呑酸(どんさん)、胸痛が代表的な症状です。胸痛は狭心症や心筋梗塞などの急性冠症候群との鑑別が重要です。急性冠症候群は治療が遅れると致命的経過をたどることのある緊急性の高い重大な疾患です。安易にGERDの症状と決めつけない方がよいです。胸痛を繰り返し自覚している方は一度、循環器内科で狭心症ではないか確認のため診察を受けていただいた方がよいでしょう。

原因

背景:ピロリ菌未感染者の胃酸分泌過多。ピロリ菌除菌後の反応性胃酸分泌亢進。
生活習慣:喫煙やアルコールなど胃酸分泌を刺激するものの摂取。経口摂取後すぐに横になる。晩酌習慣。
器質的異常:食道裂孔ヘルニア、Zollinger-Ellison症候群(ガストリン産生腫瘍)。食道胃接合部癌など

日常生活で気を付けるべきこと

飲酒習慣を見直す。禁煙を心がける。飲食をした後の2~3時間は横にならないようにする。適度な運動習慣を身に付け、適切な栄養と十分な睡眠をとるように心がける。

検査法

急性冠症候群などの他の疾患が除外でき、胃酸分泌抑制薬(PPIやPcab)に対する反応を見ることで臨床診断は可能です。しかし、できることならGERDの臨床診断の前には器質的異常に伴うGERDではないかの確認と、REなのかNERDなのかの、REであればその程度(ロサンゼルス分類)は如何ほどかの確認を、胃カメラを用いて行っていた方がよいと考えられます。
胃カメラを行っておくことでREであれば症状だけでなくロサンゼルス分類の改善具合をもってして客観的に治療効果を評価できるようになります。器質的異常があればそれに対する対処を行うことでGERDを改善させることができる場合があります。NERDが疑われる場合臨床診断でない客観的評価は一般的な消化器内科クリニックでは困難です。専門病院では多チャンネルインピーダンス・pHモニタリング検査が実施され、胃酸の逆流とその程度や頻度などが評価されます。また、この検査を行うことで、GERDではなく機能性胃腸疾患のスペクトラムとされている酸の逆流を伴わない「機能性胸やけ」を鑑別することができます。

検査法

治療法

器質的胃原因があればそれに対する対処を行います。例えば、高度の食道裂孔ヘルニアであれば、手術が行われることもありますが、それでも基本的には保存的治療です。
生活習慣改善に取り組んでいただき、それでも改善がないときは胃酸分泌抑制薬の内服治療があります。胃酸分泌抑制薬にはヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬(PPI:proton pump inhibitor)とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:Potassium Competitive Acid Blocker)があります。P-CABはPPIを改良して作られたものと理解されてもよいです。
H2ブロッカーは1日1~2回の内服、薬価が安い、長期使用で耐性を起こすなどの特徴があります。PPIは基本1日1回内服、薬価はH2ブロッカーより高め、強力な胃酸分泌抑制効果、長期使用で耐性は起こさないもののCa吸収低下から骨密度低下を招く恐れがあることなどの特徴があります。P-CABは最も新しいタイプでPPIの改良品と考えてください。非常に胃酸分泌抑制効果が強いのが特徴で、薬価は最も高いという特徴があります。

  • H2ブロッカー
    ファモチジン(ガスター™)、シメチジン(タガメット™)、ラフチジン(プロテカジン™)、ニザチジン(アシノン™)
  • PPI
    オメプラゾール(オメプラール™)、ランソプラゾール(タケプロン™)、ラベプラゾール(パリエット™)、エソメプラゾール(ネキシウム™)
  • P-CAB
    ボノプラザン(タケキャブ™)