EMR/ESD 早期胃癌、特に粘膜内癌の治療法です。国内のガイドラインでの早期胃癌のESDの絶対適応病変は①潰瘍を伴わない分化型癌優位の粘膜内癌(サイズ規定なし)、②潰瘍を伴った分化型癌優位の粘膜内癌で3cm未満、③潰瘍を伴わない未分化型癌優位の粘膜内癌で2cm未満となっており、①で2cm未満の場合はEMRも考慮できるとなっております。これらの適応はリンパ節転移リスクが1%未満のものです。これに該当しない場合でも術前診断の不確実性から相対適応と考えESDを行う場合もありますが、術後病理組織診断にて正確な評価を行い、根治度に基づいた対応が必要となります。また、絶対適応病変と考えESDを行ったものの術後診断で根治度がeCuraAとならず追加外科切除等の追加治療を考慮する場合が少なからず経験されます。
外科的手術
幽門側切除術(胃の2/3を切除し、再建する手術)、胃全摘術(胃を丸ごと切除し、再建する手術)、いずれも所定のリンパ節を郭清します。開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術のいずれも切除する範囲や再建方法は同じです。
化学療法
抗癌剤を使用する治療法です。殺細胞性抗癌剤、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬などを組み合わせて行います。メニューのことをレジメンといいますが、高い有効性を示したものから順番に使用することとなっています。効かなくなってきたら次のレジメンに切り替えてできるだけ腫瘍の成長を抑制するという治療です。稀に完全に腫瘍が消えることもありますが、基本的には化学療法は延命が最大の目標であり、治癒を目指す治療ではありません。
緩和ケア
癌に伴う様々な苦痛を取り除いていく行為すべてを緩和ケアといいます。癌による痛みを取るために医療用麻薬を使用することを緩和ケアだと理解されている方もおりますがそれは誤りです。緩和ケアは癌と診断された患者様皆様に最初から適応されるべきものです。癌性疼痛がなくても心の苦悩や不安は癌と診断された方には必ずあります。社会的な問題や宗教的な苦悩への対応も含まれます。癌という存在によって発生する苦痛や苦悩の全てを和らげることが緩和ケアであり、とても高度な知識と技術が必要です。