大腸カメラと胃カメラ|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

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大腸カメラと胃カメラ

大腸カメラと胃カメラ|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

内視鏡検査

内視鏡とは先端を意のままに動かすことができる細長いカメラです。人が入れないところを進み目的部位に到達して観察と処置ができる装置です。体内の様々なところに入り込むため内視鏡が開発されています。胃カメラ、大腸カメラ、小腸カメラの他、気管支鏡や胆道鏡、手術で使用される腹腔鏡や胸腔鏡も内視鏡の一種です。肛門、直腸、結腸、盲腸、回腸末端の内腔に到達できるのが大腸カメラです。口腔・咽頭・喉頭・食道・胃・十二指腸球部と下行脚の内腔に到達できるのが胃カメラです。内視鏡は観察するだけでなく、鉗子口から道具を出して止血や切除などの処置や組織生検を行うこともできます。

大腸カメラでわかること

赤痢アメーバ

下部消化管の感染症、下部消化管の腫瘍、炎症性腸疾患、血管性病変、憩室疾患の診断に有用です。下痢、便秘、血便、タール便/黒色便(下血)、腹痛、体重減少などの原因を突き止めるのに役立ちます。
下部消化管の感染症は非特異的な所見(どのような感染症でも起き得る所見)しか呈しないこともありますが、特異的な所見(疾患の診断に有用な所見)を呈するものもあります。特異的な所見が得られれば大腸カメラで見ただけで感染症の診断ができます。非特異的な所見しかなくても直接病変部から病理診断用の組織生検や培養用の粘膜検体の採取を行うことで診断できることもあります。腸結核、サイトメガロウイルス腸炎、赤痢アメーバは特異的な所見を呈することが多く、観ただけでも強くその疾患を疑うことができます。
この写真は赤痢アメーバの画像です。これを観たらアメーバをまず疑う特異的所見です。

サルモネラ腸炎

この写真はサルモネラ腸炎ですが、こういった潰瘍の多発は重症の腸炎で起こりえる所見で病原菌が何なのかは予想できません。非特異的潰瘍の所見ですが、この症例は粘膜培養でサルモネラ腸炎の診断に至りました。

下部消化管の腫瘍には癌化する前の良性ポリープ(腺腫)や大腸癌があります。ポリープや早期大腸癌に症状はなく、運が良ければ便潜血検診で引っ掛かるくらいで、基本的に大腸カメラを受けなければ診断できません。進行大腸癌も初期には症状に乏しく根治可能な状態で見つけるにはやはり大腸カメラが必要です。

大腸癌の進行

憩室疾患には憩室炎、憩室出血、憩室穿孔/穿通があります。穿孔や穿通が疑われるときは原則内視鏡は行わない方がよいです。

憩室疾患

大腸カメラを受けた方がよい方

40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない方はまず受けた方がいいです。便潜血を毎年受けている方でも安心はできません。便潜血は大腸癌の発見効率を高めるのには有用ですが、大腸癌の否定には使えない検査です。しかも男性の12人に1人が、女性の15人に1人が生涯で大腸癌に罹る時代です。誰もが罹り得るリスクを持っているのですから誰しもが対策を打つ必要があります。大腸癌は50~80代に好発します。大腸癌の95%前後は腺腫やSSLといった良性腫瘍から発生しています。良性腫瘍が癌化するには5~15年を要することが多いです。つまり、50代で癌になる人は40代からポリープがあります。70代で癌になる人は60代からポリープがあります。ポリープの段階で採っておけばそこは大腸癌になりません。便潜血大腸癌健診以外に40代で1回、50代で1回、60代で1回、70代で1回大腸カメラを組み合わせておくことでほとんどの人は癌になる前のポリープで発見できます。また、ポリープができた後は3年毎に定期的に大腸カメラを行うことで、ポリープを介した大腸癌のほとんどは予防ができるうえ、ポリープを介さない直接癌化病変すらも根治可能なステージで発見できる可能性が高くなります。もし全国民がこのようにしてくださったら日本の大腸癌発生数も大腸癌死亡者数も世界最小となると思います。このようにしても対処が難しいのがリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌HNPCC)です。もし近親者に50歳未満で診断された大腸癌の方がいましたら20代から大腸カメラ健診を始めておいた方が無難かもしれません。
慢性下痢、慢性便秘、血便、タール便/黒色便(下血)、腹痛、体重減少などの症状が一つでもあれば他の臨床検査とともに大腸カメラで調べてみた方がよいと思います。

大腸カメラの至適期間

  • ポリープがない人:5~10年に1度
  • 腫瘍性ポリープがあった人:3年に1度
  • 5個以上の腫瘍性ポリープ、10mm以上の平坦型腫瘍、高異型度腺腫または癌があった人:1年後、以後リスクに応じてではあるが、基本的に3年毎
  • SSLが10個以上多発していた人:毎年

胃カメラでわかること

ヘリコバクターピロリ菌の感染状況(未感染、既感染、現感染)が分かります。萎縮性胃炎の程度と組み合わせることで将来の胃癌発生リスクを推定することができ、その後の胃カメラの至適期間を決める上で重要な情報となります。
胃潰瘍、胃癌、びらん、悪性リンパ腫、胃粘膜下腫瘍(脂肪腫、神経鞘腫、平滑筋腫、GISTなど)、血管性病変(GAVE、胃静脈瘤、食道静脈瘤など)、自己免疫性胃炎、十二指腸潰瘍、十二指腸腫瘍、食道異物、食道癌、食道カンジダ、逆流性食道炎、Barrett食道、食道裂孔ヘルニアなどの病気の診断ができます。

胃カメラを受けた方がよい方

  • ピロリ菌がいる、またはピロリ菌がいたことがある方
  • 心窩部痛、胸やけ、繰り返す嘔吐、吐血、タール便/黒色便(下血)、体重減少などの症状がある方
  • 鎮痛剤を頻繁に使用している方
  • 飲酒すると顔が紅くなる方で飲酒習慣がある方
  • 喫煙者(従来のたばこ。電子タバコがどうであるかはデータがありません)

胃カメラの至適期間

  • ピロリ菌未感染者:自治体の胃癌健診で十分すぎると考えられます(例外はあります)
  • 除菌後10年未満の方:1年毎/毎年
  • 除菌後10年以上経過したかた:2年毎

現在の自治体の胃癌検診の問題点:ピロリ菌感染状況に応じた個別の案内ができておらず、リスクが異なるピロリ菌未感染者とピロリ菌既感染者の検診間隔が同じであることです。本来同じ量の公費を使用するなら病気のリスクの高い集団には短い間隔で案内し、リスクの低い集団には長めの間隔で案内するのが効率的です。実際には2年毎に胃癌検診が案内されることが多いのですが、2年毎というのは最高リスクの方には足りませんし、低リスクの方には少し多いと思います。