大腸癌・大腸ポリープ|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

〒810-0022福岡県福岡市中央区薬院4丁目6-9 浄水メディカルビル2階
Tel,092-753-6162
ヘッダー画像

大腸癌・大腸ポリープ

大腸癌・大腸ポリープ|福岡大腸カメラクリニック|消化器内科・内視鏡内科・胃腸内科

ポリープの種類

そもそもポリープという言葉は限局性隆起性腫瘤を指す言葉であって、腫瘍なのか非腫瘍なのかという質的診断の意味は全く含まれておりません。つまり、「盛り上がっているもの」、「おでき」、「できもの」と言っているようなものなのです。
しかし、実際にはポリープという言葉自体が切除を前提とした腫瘍という意味で使われている場面も多く、混乱が生じています。
当院では腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープを合わせてポリープと総称しています。
ポリープと一言で言いますが、様々な種類があります。癌化しないものから癌化リスクの高いものまでさまざまです。頻度の順に、過形成性ポリープ、低異型度腺腫、SSL(sessile serrated lesion)、若年性ポリープ、TSA(Traditional serrated adenoma)、高異型度腺腫、SSL-D、Lymphoid polypなどがあります。正確にはポリープではなく粘膜下腫瘍の一種ですが、直腸には神経内分泌腫瘍(NET:neuroendocrine tumor)という腫瘍性病変ができることがあり、無視できない頻度で時々遭遇します。
実は他にもたくさんのポリープがあり、私どもはこれらを内視鏡的に診断して切除するかどうかを判断しています。

ポリープの種類

癌化のリスクが高いポリープ

いわゆる、前癌病変です。Advanced adenomaという言葉がありますが、高異型度腺腫または10mm以上の腺腫のことです。他にもSSL-Dという異型を伴ったSSLや、HPS(Hyperplastic polyposis syndrome)のSSLも癌化のリスクが高いポリープになります。これらは経過観察よりも確実な切除が推奨されます。すでに一部が癌化したポリープを腺腫内癌と呼びます。
最も頻度の高い、低異型度腺腫は癌化するリスクがとても高いわけではありません。実は多くの低異型度腺腫は生涯癌化することなく経過します。しかし、腫瘍である以上、いずれの低異型度腺腫も絶対に癌化しないというわけではなく、癌化のポテンシャルを持ったポリープですので10mm以下は経過観察という時代から1mmであっても発見したら全てとる(Clean colon)という考えの時代にシフトしてきて行っています。患者様が確実にフォローアップ内視鏡を受けるとは言えないため見つけ次第腫瘍性ポリープは経過観察せず全て切除するという考えで当院は治療を行っております。

腺腫が癌化するまでどのくらい時間がかかるでしょう

すぐに癌化する場合もあれば一生癌化しない場合もあります。良性腫瘍細胞に癌化に必要な遺伝子異常が入ると癌化します。癌化するため細胞の数が多ければ多いほど癌化のリスクは高いと言えます。つまりサイズの大きなポリープ程癌化しやすいということです。前述のAdvanced adenomaは数年以内に癌化する可能性が無視できない程あるポリープと考えてください。

形態分類

ポリープの形を表す言葉としてⅠp,Ⅰs,Ⅰsp,Ⅱa,Ⅱb,Ⅱcという言葉があります。
10mm以上のⅡa,Ⅱa+Ⅱc,Ⅱc+Ⅱa,Ⅱa+Ⅰs,Ⅰs+Ⅱaなどの平坦型を主とするポリープはLST(側方発育型腫瘍、Lateral spreading tumor)という俗称で呼ばれることがあります。ニックネームのようなものですので正式表記は上記の形態分類を組み合わせた表記になります。

形態分類

ポリープ切除

ポリープを切除するうえで大前提となるのは質的診断です。非腫瘍(過形成性ポリープや若年性ポリープ)は貧血や腸重積の原因となるような場合やSSLへの進展の可能性が極めて高い場合に限って切除します。基本的に将来癌化をほとんど起こさないポリープは切除適応外となります。ポリープを見つけたら(存在診断)、次にそのポリープがどういったポリープなのかを判断しています(質的診断)。質的診断に我々は、NBI(Narrow band imaging)という特殊光を用います。NBIで倍率を拡大してポリープの表面構造と血管構造をよく見てJ-NET分類をつけ質的診断を行っております。大腸癌の90%近くの原因となる大腸腺腫やSSL(Sessile serrated lesion:鋸歯状病変、鋸歯状腺腫)といった腫瘍性ポリープと診断したら切除します。
切除するとなったら一定の基準に従って適切な切除方法を選択しています。当院での大腸ポリープ切除方法選択基準を下記にお示しします。
切除方法の選択に重要なのはポリープの形態とサイズおよび質的診断です。形態がIpという有茎性ポリープの場合切除後の動脈性出血が多いため高周波電流をスネアに流し血管を凝固止血しながら切除するHSP(Hot snare polypectomy)という切除方法が適しています。茎の太さが太くなれば大きな血管が入っている可能性が高いため高周波電流を流すだけでなく留置スネアで根本を結紮してから切除します。形態がIIcという陥凹型のポリープの場合は一段質的診断を深読みした方が無難です。つまり癌である可能性が高いポリープということです。低異型度腺腫といえるであろうJ-NET Type2AですらEMRで切除しています。これはIIcの場合一段深読みして高異型度腺腫や粘膜内癌である可能性があると考えての対応です。EMRで一括切除できないような大きなサイズのIIc病変は外科切除適応病変のことが少なからずあるため基本的に外科があるような総合病院へご紹介しております。
IIbは非常に稀ですが、これを含む、他Is,Isp,IIaの病変はサイズが大きくなればなるほど一括切除が難しくなってきますので、それに応じた切除方法を選択するようになっております。具体的には8mmまではCSP(Cold snare polypectomy)、20mmまではEMR(endscopic submucosal resection)、25mmまではPre-cutting EMR、30mmまではHybrid ESD、30mm以上はESDの適応と判断しております。ただし、サイズが大きくなればなるほど、合併症(後から出血したり、大腸に穴が開いたりする)のリスクが高まります。そのため、当院では20mmまでを日帰りポリープ切除の適応とし、それ以上は入院可能医療機関へご紹介をさせていただいております。

ポリープ切除

実際の切除方法は以下のリンクの動画で詳しくご紹介しております。