ポリープを切除するうえで大前提となるのは質的診断です。非腫瘍(過形成性ポリープや若年性ポリープ)は貧血や腸重積の原因となるような場合やSSLへの進展の可能性が極めて高い場合に限って切除します。基本的に将来癌化をほとんど起こさないポリープは切除適応外となります。ポリープを見つけたら(存在診断)、次にそのポリープがどういったポリープなのかを判断しています(質的診断)。質的診断に我々は、NBI(Narrow band imaging)という特殊光を用います。NBIで倍率を拡大してポリープの表面構造と血管構造をよく見てJ-NET分類をつけ質的診断を行っております。大腸癌の90%近くの原因となる大腸腺腫やSSL(Sessile serrated lesion:鋸歯状病変、鋸歯状腺腫)といった腫瘍性ポリープと診断したら切除します。
切除するとなったら一定の基準に従って適切な切除方法を選択しています。当院での大腸ポリープ切除方法選択基準を下記にお示しします。
切除方法の選択に重要なのはポリープの形態とサイズおよび質的診断です。形態がIpという有茎性ポリープの場合切除後の動脈性出血が多いため高周波電流をスネアに流し血管を凝固止血しながら切除するHSP(Hot snare polypectomy)という切除方法が適しています。茎の太さが太くなれば大きな血管が入っている可能性が高いため高周波電流を流すだけでなく留置スネアで根本を結紮してから切除します。形態がIIcという陥凹型のポリープの場合は一段質的診断を深読みした方が無難です。つまり癌である可能性が高いポリープということです。低異型度腺腫といえるであろうJ-NET Type2AですらEMRで切除しています。これはIIcの場合一段深読みして高異型度腺腫や粘膜内癌である可能性があると考えての対応です。EMRで一括切除できないような大きなサイズのIIc病変は外科切除適応病変のことが少なからずあるため基本的に外科があるような総合病院へご紹介しております。
IIbは非常に稀ですが、これを含む、他Is,Isp,IIaの病変はサイズが大きくなればなるほど一括切除が難しくなってきますので、それに応じた切除方法を選択するようになっております。具体的には8mmまではCSP(Cold snare polypectomy)、20mmまではEMR(endscopic submucosal resection)、25mmまではPre-cutting EMR、30mmまではHybrid ESD、30mm以上はESDの適応と判断しております。ただし、サイズが大きくなればなるほど、合併症(後から出血したり、大腸に穴が開いたりする)のリスクが高まります。そのため、当院では20mmまでを日帰りポリープ切除の適応とし、それ以上は入院可能医療機関へご紹介をさせていただいております。